アーカイブ : 2011年 7月 26日

Pixivと現代アート(カオスラウンジ)問題についてちょろっと述べてみる。

Pixivと現代アート(カオスラウンジ)問題についてちょろっと述べてみる。

※7/27AM0:58追記
この記事は虹裏の皆さん向けではなく、この数日でTwitter界隈に
ポッと沸いて出たようなPixivカオスラウンジ騒動の
現代アート部分に反応した層向けの記事です。
個人としては、キメこな問題から追ってはいますし、該当記事にも目を通しています。
ご理解よろしくお願いします。

 

Twitterとかで、憤りは分かるけどちょっと本質とずれてるような物を
多く見たので、現代アートってそもそも何なん?ってところから。
一応美術専門教育を受けた身として色々感じるところがあるので。
あ、その前に経緯については、比較的よくまとまってるので
こちらからどうぞ。
http://d.hatena.ne.jp/deathno/touch/20110719

※追記:上記ページが作成者様判断により閉じられてしまいました。
うちが原因だとしたら申し訳ないです。

もうちょっと精細なまとめ?うちの日記もまとめてもらってるので相互補完的に
http://pixiv.cc/gojiru/archives/51278171.html

・そもそも、現代アートの成立って言うのは、写真技術の発達により
写実描写を突き詰めてきた絵画の価値が喪失して来たところに出てきたわけね。
(元々写実以外の物描きたいよ、でも場がないよってのもまきこみつつ)

その中でも今回問題になってるコラージュはさかのぼればピカソやブラックらに
代表されるキュビズムから始まってるんだね。
このころのコラージュはいわゆる、自分が見てる風景の切り貼り的な物で
今みたいな、著作物を切ったりっていうのはマックス・エルンストあたりの登場を待つわけなの。
このエルンストさんは、当時めちゃくちゃ先鋭だったダダイズム出身だったりするのね。
マルセル・デュシャンのレディ・メイドシリーズが有名
(便器をどーんとおいて作品名つけたりしたやつ)
そんなわけで、絵画芸術とは一線を画してる物なわけだ。
ものすごく大雑把に言うと。現代アートってのは
なるべく自由に、かつ美・醜・愉快・不愉快を超えるために作る物なのね。
だから、手間暇かかったCGイラストとコラージュが同価値なんて…とか
著作権侵害はなはだしいとかってのはちょっとずれてるのね。
アンディ・ウォーホルのマリリンモンローの写真を使った一連の作品とか
色々緩やかな時代ってのをおいといても肖像権どんだけ侵害してるのて話だし
手間かかってる絵がイイって言うなら、僕の絵だってもうちょっと閲覧伸びてもイイと思うんだ!

・とまあ、大変大雑把ながら現代アートの流れを語った上でPixivとかに一般的にUPされる絵は
2次元をモチーフにしつつも、かなり伝統的な絵画よりなわけね。
そのあたりにまず齟齬が起こってると。

で、ここからが本題。

そんでもって、そういう非常にクローズなオタク文化を海外に持ってって
アートにしようとした人がいるわけなのね。これが村上隆氏。
Pixiv×Kaikai kiki ってバナー見たことあると思うけどそのKaikai kikiの代表(だよね?)
この人は、オタクカルチャーの一次創作物をきっちり作って評価されてるのは
すごいなって思う。個人的に作品好きじゃないけど。すごいのはすごい。

そういう成功例もあって、Pixivとしては、オタクカルチャーを海外とかで
アートとして展開したいってのが見て取れる。
でも、村上隆氏とかのはもう出来あがっちゃって営利企業的には旨みがない。
そこで、オタクカルチャー×アートで展開してたカオスラウンジと仲良くしちゃおう
って思ったんだろーね(予想)

で、今後売り出したいし飯のタネにしたいんで、
変なアヤつけられたくないってところに今回の騒動が起こったと。
はっきりいえば、Pixivは商売を取ったんだけどやり方が非常にまずかった。
梅ラボ氏やカオスラウンジとの付き合い方をきちんと見直します。って言えば
こんな大事にはならなかった。

逆にカオスラウンジ側も、自分たちの肖像をコラージュにされた時
むしろ本家でさらにそれをコラージュするべきだった。そこまでやり切ってのアートなのに
あまりにも半端な対応をしちゃったと。
人の絵は使う!不愉快もアート!とか言いながら、自分たちの肖像は不快!
とか言っちゃったらそりゃ評価されないって。

そんなわけで、実際にコラージュされちゃった人とか、Pixiv運営が気にくわない人が
居るのは分かるんだよね。だって中途半端だもんやり方が。

ただ、ここでコラージュとかクソ!でも2次創作絵はイイ!とか言うのを見ると
ちょっと、ちょっと待って!って思うわけ。
価値観が違うモノだけど、それぞれには価値はあるわけなのよ。
例えばこれが、伝統的な日本画サイコー!アニメ絵クソ!って言われたら
腹立つでしょ?
立ち位置が違うモノはそれぞれで判断しないといけないんだね。

とはいえ、コラージュアートをPixivに安易に載せさせて持ち上げてる運営の
責任はあると思う。なんか同じ土俵で語りたくなるもんね。

梅ラボ氏の作品の好き嫌い・理解できる出来ないと今回の問題はきちんと離して考えたい。
あと、Pixivも営利企業だから、そこに打算的な動きがあること自体は理解してあげないといけない。
(プレミアムユーザーはめっちゃ怒ってもイイと思うけどね。直接的な出資をしてるわけだし)
あくまで、企業体が経済活動の一環として行ってるサービスが100%意に沿わない!辞める!
っていうより、上手くユーザー側がコントロールしてあげるってのが良いんじゃないカナー
って思うというところで、締めくくりたい。

7/27:AM08:08追記
最終的にイラストSNSの再構築が行われるのは全く持って問題は無いと思っています。
ただ、感情的にPixiv退会!と煽る論調や実際にそれに乗っかってしまう流れを見ると
既に現時点でサーバが限界なPixaやTinamiにとっても+には働かないと思うのです。
一度冷静になって問題を切り分けたうえで、きちんと判断してもらいたいなという思いがあります。

たくさんのコメントありがとうございます。
現在原稿が立て込んでおり、今後のコメントへの返信が遅れる事があると思いますが
ご理解頂ければ幸いです。
また、可能であれば、コメントへの返信もご覧いただければと思います。

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