思い出のマーニーを見た感想。

テレビで思い出のマーニーがやっていたので観ました。
展開がやや平板ではありますが、個人的にドラマチックじゃない展開は
結構好きなのでそこは好みかなと思います。
主人公がちょっと夢遊病っぽいんですけど、その辺のサポートが雑なのは
ちょっと気になるところですかね(いきなり泥だらけで路地に倒れてるとか犯罪臭しますよ。
主人公の若々しい悩みや映像美・マーニーとの百合百合しい感じなど
作品としてはとてもよかったと思います。

ただ、主人公、杏奈の設定にぜんそく療養で訪れているという設定があるのですが
そこの活かし方がちょっと……と思いましたので、
そのあたりをストーリー展開と絡めて軽く記載したいと思います。
やや批判的な内容を含みますのでご注意ください。(若干のネタバレも)

まず作品冒頭で、医師の診察を受けている杏奈。
医師に大丈夫だよと太鼓判をおされ、いったん治療が終わったという感じでしょうか。
その後、ストーリーでマーニーとの話の中で
ぜんそく療養で夏の間だけ居ることを伝えています。
その後は特にぜんそくの発作が出ることもなく
ガンガン走るし、水にも平気で浸かるし雨にも濡れる……
ううっ……リアリティが……

そもそも、中学生でぜんそくが完治しているなら
療養に来る必要はないわけで、ある程度の不安点がある設定でないとおかしいかなと。

杏奈は孤児で養子になっているのですが
そのあたりの精神的不安がぜんそくに影響していると思われるわけです。
(心因性のぜんそくは実際にあります)
この物語はマーニーとの心の交流で
そういったかたくなな部分、心の傷をいやす物語なわけです。

ということは物語展開と療養に来ているぜんそくの治療がリンクしたほうが
ストーリーに厚みが出ると思うんですよね。
最初は走っても咳き込む・水にも浸かろうとしないのを
マーニーに促されるように活動的になっていく
その中で心もほぐれていくほうが説得力が大分出たと思います。

と、言いますか、別にぜんそく設定なくてもマーニーとの交流自体はしっかり描かれているので
夏休みだけの舞台設定に無理に療養を絡める必要はなかったと思います。

また、物語後半で、肺炎になるシーンもあるのですが
ぜんそく患者が肺炎になったら限りなく呼吸困難で、寝言など言う余裕はないと思います。

このあたりせっかくの設定なのに活かしきれてないのがとてももったいないなと思いました。

とりあえず現代のぜんそく患者なら確実に吸入器を持っているので
それを小道具として用意してほしかった……

古い映画ですがグーニーズを見習ってほしいですね……

うまく活かせていれば、エンディングでマーニーの友人だったおばさんに
駆け寄るシーンで全力疾走させればかなり感動が大きかったかなと思います。
あと、そのシーンで、養母をはじめて母です。と紹介するんですが
あまりにも大人びすぎていて芝居がかっているので、お母さんです。
のほうがいいかなあ……と思いました。

その他にもせっかくの田舎で夏休みで野菜を育てたり、養母と手紙のやり取りをしたり
現地で友達ができたりしていたのでそのあたりを心身の回復・再生とうまく絡めてほしかったなと。
そうするとなだらかな展開が、少しずつ進展してらせん状に高まっていくと思うのですね。

テレビ版視聴で細かくカットされている可能性もあるので今度円盤を借りてみてみようと思います。

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