ジョジョの奇妙な冒険に「死亡フラグ」が無い理由。

最初は、記事タイトルを
「バトル漫画におけるジョジョとほかの漫画の相違点」
にしようと思ったんですけど、インパクト弱いのと比較でもないなと。

荒木飛呂彦先生デビュー30年・ジョジョ25周年で盛り上がる昨今ですが、
子供の頃からジャンプ読んでた自分があれこれ考えた、バトル漫画考察ジョジョ編。

JOJOをバトル漫画としてみた時におもしろいのは
いわゆる死亡フラグがほとんどないところだと思っています。

※2部までは脇キャラとかにちょこちょこあったんですが。
この戦争が終わったら、国に帰って結婚するんだという
2部のシーザー・ツェペリの友人
マルクなどは有名すぎるほど有名(だよね?)

でも3部以降はほとんどない。死亡フラグ。
基本的に死亡フラグっていうのは、読者に対する
予防線というか、心の準備は良いですかー的な
物だと思ってるんだけど、正直大嫌いなんですよね。
個人的な好悪はともかく、ここから読みといて行ってみたいと思います。

盛大にネタバレを含むため、ネタバレOKか既読の方は続きからどうぞ。


ジョジョをジョジョたらしめているのはなんといっても
スタンド能力がでてくる3部以降なわけですが
(個人的には2部が一番好きですが、一般認知として)
このスタンドというのは、超能力を目に見える像で表現したものです。
日本では斬新でしたが、この手法自体はアメコミヒーローなどでもあったので、
パワーある像そのものではない、スタンドの本質をさらに探ってみましょう。

このスタンド能力、おもしろいのが
その人物の性格・特性に左右されるもので
発現した能力が、その人物の望む物とは限らない部分です。

第三部ではスタンドが初めて登場したため
炎・水などといったかなり直線的な能力が
主体なんですが、第四部以降は持って生まれた性格などの
影響を大きく受けるという部分が顕著になっていきます。

逆に行うと、スタンド能力は、その人物の
表層に現れていない本質そのものを表しているわけです。

このことを念頭に置きながら再度全巻読破して
そのことに気づいたのは、4部で承太郎が丈助に対して言った
「おまえのクレイジーダイヤモンドは誰よりも優しいスタンドだ」という部分です。

キレたらボコボコにブン殴って滅茶苦茶にするという
スタープラチナ以上のパワーを持つクレイジーダイヤモンドを
「優しい」と表現する承太郎。
最初に読んだときは、丈助のスタンドのもう一つの能力、
自分以外を治す力のことをただ言ってるだけなのだと
思っていたのですが、承太郎は丈助の本質が破壊の力ではなく
この優しさにあると言うことがちゃんとわかっているわけですね。

実際に4部のテーマは、傷つけ破壊する吉良と
守り癒す力の丈助の戦いなわけです。
老いたジョセフと承太郎が杜王町から去るときに
心残りがないのも、丈助の癒しの力とその仲間達が
かならず町の傷を癒してくれると信じているからなのだと思います。

ちょっと死亡フラグから話がそれました。

第五部に移ってみましょう。
五部の代表キャラ、主人公のジョルノと
もう一人の主役と言っていいブチャラティ。

この二人はボスを倒し、マフィアを支配するという共通の目的を持っています。

その二人のスタンド能力は一見何の相関関係もないように見えますが
目的(マフィア組織の乗っ取りという点からみると)
生命を生み出す太陽のような表出する力のジョルノと
ジッパーという隠蔽・分断・包み隠すイメージのブチャラティ
まったくの正反対なのです。

これは、同じ目的を持つ二人が全く別の道を
歩みながらも共闘しているという事ではないでしょうか。
そういう意味では、五部の主題はジョルノVSディアボロではなく
ジョルノとブチャラティの歩みなのかな、と思います。

他のキャラに目を向けると、

過去にとらわれたアバッキオのムーディーブルース
鉄砲玉のように飛び出していく、ナランチャのエアロスミス
スタンドのくせに食事や昼寝が大好きな生命力そのものの
ミスタのセックス・ピストルズ

スタンド戦とはただ力と力・能力と能力のぶつかり合い
戦いではなくて、魂と魂のぶつかり合い
人と人の人生の激突なのです。

そしてまた、その人物のスタンドがどんな能力かによって
歩む道がしらずしらずのうちに読者の中に
覚悟となって染み込んでいるということなのだと思うのです。
ジョジョのスタンド能力は、ただの戦闘におけるギミック・能力だけではなく
キャラクターの人生の集約でもあると言えるのではないでしょうか。

それははからずも、第六部でのプッチ神父の望んだ
未来を知ることによって覚悟ある幸福な時を生きるという事を
我々読者はジョジョという作品世界において
体験しているということになるのでしょう。

以下余談。

最近のジャンプ漫画の能力バトル物の
系譜はジョジョの影響が一番だと思いますが
その本質を一番つかんでるのはH×Hだと思います。
ワンピースはJOJO的バトルが一周回ってキン肉マンぽく、
BLEACHは聖闘士聖矢の後継だと勝手に思ってます。

トリコはバトル漫画において、また別の地平に立った
数少ない漫画なので、その記事はまた後日。

    • 匿名
    • 2013年 9月 15日

    だからあれほどスタプラよりパワー弱いと言ってるのによォ~?
    クレイジーDよりも無敵のスタプラの方が強い

    • 匿名
    • 2015年 4月 20日

    @匿名

    クレDもスタプラも一応パワー共にAですけどもね。
    ぷっつん仗助モードになると色々変わるんかもね
    ASBでもぷっつんの扱い違うし

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